社会的経済

わたしたちは生活を行う上で様々な市場取引の恩恵をあやかっており、その多くは市場取引における需要と供給の機能を通じて、その価格や価値の安定した供給を促す仕組みになっています。

例えば、株式取引や外国為替での通貨取引などは、多くの市場参加者が大量の市場取引を行うことによって、不適切な価格設定や条件付けなどがされた取引は、自然に淘汰されていくことになります。

このように市場取引においては、需要と供給による自浄作用が働くため、この仕組みを利用して不当に利益を得る事を目的としたものがいない限りは、公正性と透明性をもった市場取引が行えることになるのです。

市場取引は、一対一の個々の取引である相対取引と比べ、その規模が大きくなることが特徴であり、例えば政府などの公的機関が、需要と供給にかかわる情報をくまなく集積し、その取引の配分などを決定する計画経済などであった場合には、その精査決定の労力は膨大なものになり破たんを起こす可能性があります。

しかしながら、こうした市場取引は利益を求めるためのだけの資本主義的な経済活動に陥りやすく、実際に先に出た株式市場や外国為替市場などでは、売買差益を求める投資取引が多く行われており、これによって市場の動向がその取引されているものの本質の価値価格ではなく、多くの投資家が望む価値価格へと移行し、その差がどんどんと乖離していく傾向があります。

これにより、市場取引の利点であった価格や価値の安定性が失われつつあり、特に外国為替市場では世界中の通貨の流動化が進み、FX取引などによるマネーゲームによって、新たな金融危機を発生させたり、被害を拡大するという現象が起きているのです。

もちろん、こうした事を危惧して各国の中央銀行などが協力し、こうした市場取引に対して警鐘を鳴らし、時には規制などを行うこともありますが、行政などによってこの肥大した市場取引をすべて管理することは難しくあります。

仮にそれが可能であったとしても、例えば社会主義のように国が管理を行う市場においては市場取引の最大の利点である、需要と供給の安定性が規定されたものになるために、適切に行われることは難しく、実際の市場の動きに対して管理が後手に回ることも多く、また、国の意向に沿った市場取引が行われることもしばしばになり、これによって市場の公平性と透明性は失われることになります。

このようなことから、社会全体がこうした利潤ばかりを求めるのではなく、また国ではなく、民間が各々の力を発揮し、社会的な公平性や、立場の強弱に強く配慮した社会的経済というものが近年、日本でも見直されています。

フランスを中心とした欧州諸国や、アジア、韓国などで活発に行われているこの社会的経済が日本に根付いていけば、こうした現在の市場取引についても、新たな流れが生まれるかもしれません。